経理ひとすじ50代男masaです。何人かの上司につかえきましたが、経理畑の人たちばかりなので、言動などが似ているのかもしれません。上司たちを観察していて、あるとき、真の管理者とはどんな資質をもつべきかを考えてみました。
1.管理人(アドミニストレーター)
たとえば社内システムを監視していて、異常があると措置をとる(指示する)人をイメージしています。
確かに、部内のメンバーの状況や成果物を監視し、正常が保たれていることを確認し、そうなっていなければ早急に措置をとる必要がありますよね。
「平時」を保つためには仕組み化などが必要ですが、いったん確立された「平時」が保たれていることも重要です。特に経理、人事などの部署では「有事」を嫌う傾向にあります。
経理部門の「有事」でわかりやすいのは、「資金不足」でしょう。
もっと身近な例では、「経費精算システムがダウンした」状態。情報システム部から連絡受けることもあれば、社員からの通報で発覚するケースも。
辞書ではアドミニストレーターを「管理者」と定義されているようですが、ここでは、「管理者」=マネージャーというイメージが強いため、あえて「管理人」と言っています。マンションの管理人は、居住環境をよりよくして住居人の満足度を上げたり、家賃収入の最大化を目的として雇われておりませんよね。管理人とっては、何も問題が発生してない状態が継続していることが重要なのです。
この「管理人」は、マネジャーの専任機能ではありません。一定範囲ごとに切り取って部下に任せるのが理想です。逆に、「管理人」機能しか担っていない人が、ともすると自分がマネージャー的な存在だとに錯覚してしまうケースがあるのではないか。
2.コントローラー(制御)
上司は、部下の勤怠管理をしますよね。一番わかりやすいのは、残業時間とか有給休暇の取得です。
残業時間は、ゼロが「平時」というわけでもなく、レンジで管理されていることが多いのではないでしょうか?
36協定違反を避けることを目標とする場合、上司は、事前に違反となるような事態を避けるべく、部下の勤怠管理にいそしむわけです。自分が人事部に刺されますのがイヤだという理由からでしょ。
ちょっと批判的に言いましたが、乗り物でいえば、ブレーキペダルとハンドルが典型です。この二つが機能しないとクルマを思い通りにできませんから。
部下の健康が損なわれること、部下の業務結果がトラブルにつながること、そうならないように手綱をしっかり握っておくことは重要です。
一般的な上司のイメージに一番近い資質に該当するのではないでしょうか。
3.監査人(オーディター)
証券取引所に上場する会社には、「内部監査」部門の設置が義務付けられています。だからといって、自分は監査部門でないから監査人の資質など要らないということにはなりません。
「監査」とは、性悪説に立つことを前提とします。なんでも疑ってかかっていたらキリがないし、部下からも嫌がれてしまいます。
しかし、私の部下に限ってそんなことするはずがない、ちゃんと正しくやっているはずだ、と何の根拠もなく信じていいのでしょうか?
チェックするのは、いわゆる「不正」だけではありませんが、ほんのささいな兆候が「不正」の影だったりすることもありえます。
「不正防止」に関することは、別の記事でお伝えします。
4.企画者(プランナー)
組織の長たるもの、部門予算や運営計画を作るのは当たり前のことで、
他にも、自ら業務改善のアイディアを出したり、部下にタスクを指示したする。
上記の1から3は、どちらかというと「守り」の資質ですが、「企画者」は「攻め」の資質と言えます。
十年一日のごとく同じことを同じようにやっていればいい、役所だったらそれが望ましいかもしれません。
事業会社なら、自分の部署だけでなく、製造と販売、現業と本社のような対立関係にある機能の調整をしたり、全社的なタスクのために各部署で企画を持ち寄ったりしますよね。
経営層や幹部が担うだけではありません。若手層が中心になって会社をよくするための提言をまとめるとか。花見や旅行などレクリエーション活動の幹事さんがやることも立派な「企画」だし。
5.最後には「リーダー」(導く者)であること
古代中国の戦国歴史漫画「キングダム」で、将軍をはじめとする、さまざまなタイプの「リーダー」が登場してきます。
油断したら殺されてしまう多大な緊張感のなかで、いちはやく民兵たちの心をつかみ、実力以上の力を発揮させることのできる人間が将軍になれるわけです。
有能な右腕、左腕をもっていることも重要な資質となります。
5つの資質すべてを備えたうえで、1~4の資質をもった部下を数人従えることができれば、自らは大局観に立った判断をすることに専念できます。
まとめ
1 管理人 2 コントローラー 3 監査人 4 企画人 5 リーダー
自分が相対的にどこが強くてどこが弱いかを自問してみることが大事です。
5つすべて均等でなくともよい、たとえば、 3 監査人 の資質は、ゼロでは困るが、強く発揮しすぎると部下がいつも疑われているように思ってしまいます。
今回、省きましたが、「ファシリテーター」という資質も重要となります。
1,2、3は類似点も多いので、代表してコントローラーとし、他の2つに「ファシリテーター」を加えた4分類にするのも有効です。
上記資質は、研修で簡単に身につくものではない。経験を踏んで、らせん階段を上りながら、ひとつひとつの資質を磨いていきながら真のマネジャーになるのだと考えます。
人によって得手不得手がありますが、苦手な部分足りない部分を補う工夫努力が大事です。これはすでに管理者となっている人に限りません。
また、真の管理者=人気者 とは限りません。「口うるさくない」「女子社員にもてる」「よくおごってくれる」とかが理想の管理者ではない。
最近は、管理者自身も人事考課で減点されるのを避けるべく、物腰をやわらかくしたり、懐柔策を弄したりと忙しいようですが、それは管理者の本質ではない。
パワハラやセクハラはもちろん根絶すべき、だからといって、甘いだけでは理想には届かないはず。