経理仕組家masaのブログ

鬼経理百の掟 其之拾参「経理業務のいちローは10割を目指せ」

masaです。長年の経理実践から、思うところを書き連ねています。孫正義、イチローといった偉人のエピソードはご存じのかたも多いでしょう。果たして同じことができるでしょうか?再現可能性は限りなくゼロに近いですよね。
転じて、経理を含むバックオフィスの業務はどうでしょうか?偉人とは逆に、誰にでもできる必要があります。社内の誰にもできない業務があったら業務は完遂できませんよね。例外として、業務の一部をアウトソースしていることはあるにしても。

野球のバッターは、失敗だらけです。 4千本ヒットを打ったイチローですら、通算打率は3割台なのです。
10回のうち6回以上は失敗している事務で、正しく行われる確率が3割台では明らかにマズいですよね。

野球の打撃と事務の精度を同一次元で比較できませんが定型業務なら、本来、事務作業は百やっても千やっても、1度でも失敗があってはならない。

いままで、おそらく生涯で1万を超える伝票(交通費から決算まで/masa独自調査)の承認業務を行ってきましたが、ヒューマン・エラー(=失敗の実績)を数えきれないほど見てきました。

其の三でお伝えした sum関数範囲漏れのような、一定スキルをもった者なら想像すらできないミスにも出会ってきました。

もうお腹いっぱいです。他人のミスの揚げ足を取って喜ぶ人が世間にはいるらしいですが、そんな気持ちにすらなれない。見つけてしまった瞬間、ゲンナリします。

ミスを検知し、指摘し、修正指示をし、修正後の再チェックをする工数・人件費は無視できないほど大きい。手当くれよ。

こう言うと、あなたは間違えないのね?という反語がきます。もちろんmasa自身も、よく間違えます。よく忘れます。生涯で、masaの成果物を念入りにチェックしてくれる人はいませんでした。

上場会社の決算の中で難易度の高い税効果会計や各種引当金の計上、会社法開示書類の調整から税務申告までをmasa1人で、だれもチェックしてくれない状況のなかで何年か従事しておりました。

ミスを監査や税務調査で指摘されると、その発生元は、自分が作ったのでないもの含めすべてmasaなのです。形式的な責任は経営者や経理責任者が負うとはいえ、実態ベースでのミスの責任を同僚や他部署に転嫁できない。

他部署の成果物を流用する場合でも、念入りに検証しないと、とばっちりが来ます。申告のプロでも中小企業専門の税理士だと億単位の納税額となる税務申告は緊張するとのこと。masaは、そんな億円単位の申告書を提出した後、国税庁か電話がくる度に嫌な汗をかきました。

あるとき、担当官の繰り言を1時間辛抱強く聞き終えた後、緊張で受話器を強く握っていた手のしびれがしばらくとれませんでした。身体中に嫌な汗をべっとりかきながら、ストレスでぐったり。特殊手当くれよ。

2007年、上場会社に内部統制(J-SOX)が導入され、それら決算財務、開示書類作成プロセスで属人性の排除が強制される迄のことです。

ミスの所在は全てmasaにあることが明白な場面。野球のピッチャーなら9回裏 同点でノーアウト満塁、がずっと続くようなプレッシャー。野手もいない。もう三者三振しかない!。1球の失投も許されない。使命感を感じる一方でマウンドを降りたいと思うことは何度もありました。

どうやってミスなく仕上げるかに心血注いできた。とても他人には強制できないようなガチのPDCA。怠ったら命とりなので、誰の命令でもなく、人事考課に反映するわけでもなく、一人もくもくとやっていた。他人に見せる前に何回も自分チェックする。もちろん電卓もフル稼働。容易く指摘されるような質の低いヒューマンエラーを残したまま他者に見せることはほぼ無くなりました。

そのため、他者に対し、つい厳しく指摘してしまうことが過去に何度もありました。

社内はもちろん会計監査のスタッフにもぶちキレたことしばしば。

正しくすること、正しい状態を保つこと、にもっと真剣に向き合ってほしい。と思いながら