経理仕組家masaのブログ

鬼経理百の掟 其之弐拾弐「会計監査とは?ミスを見つけてくれるのか?」

masaです。本日2つ目の投稿です。勤務先が会計監査人の監査を受けている関係で、公認会計士と接しています。また、プライベートでも公認会計士や税理士の知人がおります。

会計士や税理士は数字のプロである。だから、ミスを見逃すはずはない。と思いがちですが、彼らも人間であり、完璧ではないと思います。

さすがに、初歩的なミスは犯しませんし、神経質に、細かく精密なかたもいらっしゃるでしょう。

そもそも、会計監査や税務当局の調査で、なぜミスや不正が発覚するのか?

1.不正ロジックに精通している

これは当たり前なことですが、不正に決算数値を操作するロジック、操作の結果生じた他要素の歪みのパターンなどに精通しています。よって、決算数値の根拠や裏付けにたどり着くための時間が早いです。
比較的短い日数で不備を検知します。また、日頃からそのようなトレーニングを積んでいます。

2.「猜疑心(さいぎしん:疑う心)」を持っている

公認会計士は、会計監査において、猜疑心(疑う心)をもって臨んでいます。

ところで、会計監査とは?

会計監査は、会計の専門家で外部第三者であるものが企業の決算の確からしさを検証するために行われます。

決算は、企業が作成するものですが、誰が作っても同じ結果になるものではありません。経営者の判断や見積といった不確定要素が介入するためです。

そこで、企業から独立した専門家が検証する必要があります。

正しい決算と保証されていることを前提に、株主投資家が意思決定するのです。

企業側の言うことを100%真に受けていたら、経営者の判断や見積の妥当性を検証できません。

企業が常にウソをつくわけではないし、最善を尽くしても見積が外れることはあります。

ですが、この「判断」が曲者でして、経営者としての立場などから論理性、客観性から外れることがあります。

「恣意(しい)性」といいます。

恣意的な判断により作成された決算書は、投資家などの意思決定を誤らせるリスクがあります。

そこで、外部の専門家が、決算に用いられた判断に恣意性が介入していないこと、見積が根拠のある最善の結果となっていることを検証し、「監査報告書」に意見表明をするのです。

会計監査で計算ミスは発見されるのか?

ミスの程度にもよります。表の縦横合計のチェックぐらいは会計人として反射的に行うとは思いますが、短い時間で多くの資料を検査するため、いちいちすべてのチェックするとは限らないと思われます。

監査人の言い分としては、

「監査とはミスを発見することが第一目的ではない」

また、企業(集団)の大規模化、ビジネスモデルの複雑多様化、会計等システムの複雑性などにより、監査人がすべてのミスを検知するのはそもそも不可能と言えます。

自戒を含め、監査される側は、どうしても、せっかく見るんだからミスを指摘してほしくなってしまいます。

「決算を完成させる義務は企業にある。監査人は決算の内容に重要な不備がないか意見を言うだけ。」

これが大原則です。なので、監査人が企業のミスを指摘してくれなくても文句は言えない。ただ、事後に企業が自らミスを発見したとき、同じ資料を提出したときに監査人はなぜ気づいてないのか?疑問に思うことはあり得るでしょう。

経理担当者としては、自分の成果物をチェックしてくれる存在が欲しいですよね。

会計監査が入っている会社では、当然、監査のスタッフに依存しがちですが、あくまで二次的なものと捉えてください。

計算ミス探しを期待せずに、会計基準や法規、表示の仕方など内容面に関する質問は積極的にしましょう。