経理ひとすじ50代男masaです。経理業務の効率化にあたって、必要な発想法をまとめてみました。
大原則 やめることをまず考える
ある処理に問題点があると認識しているとき、通常は、方法を変える、ソフトウェアを導入する、などのノウハウに着目しがちです。
1.(その処理、方法を)やめる
2.頻度を減らす
3.より簡単にする
4.より安全にする
この順序で大胆に発想します。大胆さが重要です。
えてして、順序が逆になりがちです。逆の検討事例として、
「自転車通勤で坂道がつらいのを何とかしたい」
というテーマで考えてみます。
「より安全にする」
坂が多いということは、登りも下りもあるということ。つらいのは登りですが、
危険なのは下りです。ブレーキが効かなかったら危険ですよね。
だから、まずすべきは、”ブレーキの整備” となります。
「より簡単にする」
これは、登りをより楽に上がれるために、ギア比が登り・下り・平地で変化させられることがポイントになります。”変速機構の導入”です。
「頻度を減らす」
頻繁にギアチェンジを行うのは苦痛です。通常は大小の歯車の組み合わせでギア比を替えることで登りで軽い力ですむようにするわけですが、ギアシフトがうまくいかなかったり、何段も一気に替えることになったり煩雑です。
たとえば、”電動変速機構の導入”が考えられます。
最後に、「やめる」。
そもそも、動力を人力に依存するから大変なのであって、エンジンやモーターに依存すればいいわけです。原付とか電動アシスト自転車への切り替え、さらにはバスに乗るなどで運転すらやめてしまう、という発想。
通常は、こういう発想になります。
あえて、この順序を逆にしてみると発想が大胆につくれます。
(なお、自転車のブレーキは、本来、坂がない場合でも再優先事項です。ここでは上り坂のつらさをなんとかしたい、というニーズにフォーカスしたテーマととらえてください)
例 手書きの経費精算をどうにかしたい
社員が業務経費を立替払いし、事後に会社に領収書などを添付した経費申請書を提出して精算することはどの会社でもやっていることだと思います。
申請書が手書きの場合、
・記載ミスが多くて手戻りが頻繁
・都度精算のため、事務効率が悪い。
・作成提出が億劫になり、精算が遅延しがち
といった問題点が考えられます。
1.「やめる」
経費精算自体をやめる、というのはテーマが大きすぎるので、ここでは、あくまで
「手書きでの申請をやめる」
ことにフォーカスします。
例えば、スマホ・アプリの活用。
領収書をスキャンすると、アプリが日付、金額、内容を読み取って記録してくれます。これにより、転記作業がなくなるため、転記ミスもなくなり、作業も楽になるので遅延も減ることが多いに期待されます。
ボタンを押せば、経理サーバーにデータが飛んで、事務員は一定時期にサーバーに見に行って、ある程度の分量をまとめてさばくことができ、都度精算の非効率化を解消できそうですね。
「頻度を減らす」
これは、手書きの廃止ができそうにない場合の代替策として、なんとか精算の頻度を減らすことを考えます。
タクシー1回使った都度、申請させるのではなく、週1回分まとめて申請させるとか、多額の立替は都度精算(接待費、出張費など内容限定もさらに良い)、少額交通費などは月1回にするとか。
精算タイミングを、部によってサイクルをずらせば、特定日近辺の精算業務集中を回避できます。
「より簡単にする」
ミスが起きにくいように工夫する。選択肢から選んで〇をつけさせる、必須事項にはフォーマットに印字しておいて注意喚起する。手順書を配布しルールを周知徹底する、などで手戻りを減らします。
「より安全にする」
上記の施策がとれない場合、せめて、紛失破損のリスクを回避するということですが、これはなかなかアイディアが出にくいです。
領収書の紛失により申請内容を忘れてしまう、領収書の再発行を求める煩雑さの回避というテーマに限定すると、補完策の例としては、
・クレジットカード払いを励行する(カード会社から月1回使用明細が発行されるため内容忘れても大丈夫)。
・多額の支出を立替させず、請求書払いにしてもらうようにする
まとめ
まず、「やめる」ことを検討するのが、大胆かつ近道となる可能性があります。
その際、ありがちなのは、「総論賛成、各論〇〇」のパターン。
「やめるのはいいとして、××の場合はどうするんですか?」という意見が必ず出てくる。もちろん、提案に際しては、予想される各論は、あらかじめ検討し、賛成されそうな対策案を整理しておくべきです。ただの願望にならないように。
それでも、意図しない観点からの気づきや懸念が他から出てきます。
異論が出ても、簡単にはあきらめないことが肝心です。
あきらめてしまうのはいつでもできますので。
たまたま、やろうと思えばできたのに誰も思いつかなかったということもあるでしょうが、通常は、何等かの理由事情で、当初はその方法がとれなかった(やめられなかった)ことが多いのではないでしょうか。
今なら、当初の支障だったことは解消されるかもしれません。当初、そう判断した責任者が今はいない、それだけのことで改善の障壁がなくなっていることも、少なくないように思います・・・。
上述の経費精算で、他にテーマとして挙げられる典型例は、
「現金の受け渡しによるリスク・デメリット」
これも、そもそも、「社員に事務担当から現金を渡さない」ことを第1優先で考えてみましょう。
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