鬼経理百の掟 其之弐拾壱「△とは?経営者が嫌う記号」

masaです。暑くなってきましたね。今回は、数字ではなく、”△”という記号に何の意味があるのか? というお話です。財務諸表や決算短信などの開示書類、税務申告書で、 マイナスを表す記号として、もっぱら”△”が使われます。 

白い三角で上がとがっている形 

▲(上がとがっているけど黒)、▽(白いけど下がとがってる) は使いません。黒の方が目立っていいけどね。 

負を表す記号”-”も使いません。 

株主総会招集通知の読み合わせなどで、「シロサンカク」と読みます。 ちなみに ”・”は「ナカグロ」 

さて、なぜマイナスはシロサンカクなのか?その由来は知りませんでした。参考記事のリンクを貼っておきます。

https://biz.moneyforward.com/blog/33685/ 

なお、株価の場合は、△が上昇、▲が下落を表すそうです。 真逆なのでご注意を。 

上場企業が年4回公表する「決算短信」の1枚目(実務家では「表紙」とも言う)のサマリ情報で、 

前年同期比の欄に△がみえますね。 

これは、売上高や利益が前年同期より減少したことを表します。 

当期-前期の値がマイナスだったということです。 経営者は、一般に右肩上がり志向のため、企業が成長していることの証として、前期より売上や利益が伸びていると言いたいわけです。 

決算整理作業を終え、売上や利益を集計したら、ごくまれに、ほんのわずかに当期が前期を下回っていることがあります。 

仮に千円でも減少には違いありません。 決算短信が百万円単位表示の場合、△0百万円と表記されます。 

聞く話では、この「しろさんかく」を忌み嫌う経営者がいて、「なんとかならんのかね。」と経理部長に詰め寄って来たりするのだそうですよ。 

ぶっちゃけ、形式上は”減益”だとしても、 実質は「ほぼ前年並み」なんですけどね・・・。 

確かに、△1百万円だったら、コストを削るか、または売上追加計上により利益が上乗せされるかとなります。 

もし、決算処理が終わって前期比わずかにマイナスだったことがわかったら、経理部長はどうするのか? 

ここからは想像になりますが、 

1.決算整理仕訳に不備がないか探す

2.コストの前倒し計上がないか(来期のコストなのに誤って当期のコストに計上してしまっていた) 

3.単純ミス(例 試算表が最終版に更新されてなかっただけ) 

経営者に報告するまでの猶予がない中で、探し物をすることになるのでしょう。 

これも聞いた話ですが、気を揉んだ挙げ句、3.で、実は増益だったと判ったとき、とても力が抜けるそうです。

ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ 会計士試験に5回挑戦後、会計事務所に就職、現在は一般企業の経理職を20年と経理一筋に生きてきた、さすらいの会計人(びと)。 会計で社会の未来を変えることを信じている。 内向的な性格を損だと思って生きてきたが、今では独自の世界観を築くことができた(と自分では思っている)のはひたすら自己に向き合ってきたからだと確信している。 音楽は高校時代から聞き始めたモダンジャズ一筋、手塚治虫の漫画やスティーブ・マクイーン、最近はダニエル・クレイグに憧れている。