経理ひとすじ50代男masaです。決算に使うワークシートやチェックシートを長年たくさん作ってきました。
今まで、経理業務に携わってきて、切実に感じるのは、
口頭での伝達は記憶に残らない、誤って伝わる
ということです。
「〇〇さんがやるんじゃなかったでしたっけ?」
「ええっつ?そんなの私やってましたっけ?」
とか平気で飛び出してきますよ。masaの職場では。
masaも忘れますし。
よって、可視化が大事だということです。
チェックリストは、まさに可視化ツールとして経理職の武器として
徹底的に活用すべきであると。
3種のチェックリストを使い分ける
チェックリストを大まかに3種にわけてみます。
1.手順を簡潔に書きだす
定型処理の手順を網羅的に書きだしたものです。順序も正しく書きだします。
日次はもちろん、週次、月次など、頻度が高いと手順を全て記憶してしまうことがありますが、
手順の数が10を超える場合
何日か連続して行うが、初日に特有の処理があったりして不均等な場合
このような場合に有効です。
油断したときに、漏れたり、手順をひっくり返したりして手戻り発生。
ただ、これは手順書とかマニュアルの抜粋とも言えますので
マニュアルが簡潔にできていればそのまま使うのもアリです。
2.特定の処理に対する「点検シート」
決算では、さまざまな基礎データを収集し、一定の仮定に基づく判定・判断を下し、計上金額を算出し、仕訳の形に起こす
という多くのプロセスを踏む項目が各種あります。もちろん簡単なものもありますが。
このような、情報収集、見積判断、型にはめる
という異なる作業の連携を一人の人間が行う場合、
「〇〇の最新の情報を入手したか?」
「経理責任者の判断したパラメータに基づいて見積額を算出したか?」
という質問形式の「点検シート」が有効です。
このチェックリストは、作業者本人のみならず、査閲者の検証時にも使います。
査閲者のめくら判防止という機能もあります。
特に、上場会社では、決算項目の内部統制評価に、この「点検シート」が活躍します。
手順書の延長チェックリストと異なり、このチェックリストは作成の難易度が高いのが難点です。
3.成果物のコンテンツ間「クロスチェック用」
上場会社は、決算が確定すると、「決算短信」というコンテンツを対外開示しますが、開示項目間の整合性がコンテンツ内部で必要になります。
規模の大きい会社だと、作業が細分化されており、1ページ目のコンテンツと後ろのコンテンツで作成者が異なることがよくあります。
そこで、「決算短信チェックリスト」を管理者が作り、自らの整合性チェックやメンバに指示して担当者相互チェックに利用します。
2でご紹介した「点検シート」の機能と混ぜて作るのが実務的です。
決算開示物では、開示日、事業年度、総会予定日などあらかじめ記載すべき情報が決まっているので、チェックリストの冒頭にそれら必須情報を管理者が記入しておき、成果物(短信など)ドラフトがそのとおりに作成されているかを検証します。
さらに、以下のような「点検シート」に用いる質問形式のリストを加えます。
「最新の規則に則って算出した数値か?」
「1ページ目の〇〇の値と財務諸表の値が一致しているか?」
チェック項目が多くなりますが、各コンテンツの検証を作成者以外のメンバが行うように管理者が分担割りをします。
よって、項目の脇に人名が加わるのがこのリストの特色です。
応用として、複数の開示書類間でのクロスチェック用のリストもあります。
上場会社では、証券取引所のサイトにupする「決算短信」、株主総会に提出する「計算書類等(招集通知)」、金融庁に提出する「有価証券報告書」という3つのコンテンツを毎年作成します。
重複する記載項目が多々ありますが、もし不一致だと、どっちが本当なの?(どっちも誤ってることもあるが・・・)
とうことになってしまうので、後から開示する書類のチェックリストとして、先に開示した書類とのクロスチェックをするのに、あると便利です。
ただし、全ての開示書類に精通している者でないとリストがつくれません。
まとめ
以上、3種のチェックリストをご紹介しました。
いきなり、完全なものは作れませんし、上司や先輩の作ったリストであっても誤りがあったり法改正で陳腐化してたりすることもあり得ますから、
チェックリストを盲信しないこと
こまめなメンテナンスが必要と心得ること
が肝要です。
とはいえ、難しく構えると手が進まないので、手本を見ながら見よう見まねで
1つずつ作ってみることをお勧めします。
作りやすさの順番は 1.>2.>3. となります。
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