終わりの始まり

masaです。2ヶ月前のことになりますが、勤務先に大きな変化がありました。今回はそのことに

ついて書きます。

勤務先は、東京証券取引所に上場しています。約2ヶ月前に、親会社がTOB(株式公開買付)

を決定しました。少数株主の株式を親会社が買い取り、勤務先の企業は親会社の100%

所有の子会社となります。上場も当然廃止となります。

この会社に20年勤務しています。入社当時は、上場準備中でした。審査に向けて会計制度の

整備や規定類の作成などに関与し、上場後も経理財務、内部統制などで上場会社としての

水準を守るべく努力してきたつもりです。

2ヶ月前の発表で、上場会社の経理職という自分のアイデンティティが壊れました。

直後の1週間位は放心状態に近く、何事にも積極的に取り組めない状態でした。

20年間、会計監査人対応や開示書類作成、適時開示、税務など、制度対応・体外対応をスキル・

経験の中心に据えてきました。

今後は、それらの業務スキルの多くが不要、もしくは今までより低水準ですむようになります。

非上場になることで、適時開示などの負担がなくなり、社内の業績管理(管理会計)や部門間調整が

今後の経理職の中心業務になります。

もちろん、それらに全く無関与ではありません。やれることがゼロになるわけではありません。

でも、直感的には、自分の存在価値が減損し、余剰人員化したように思えてなりません。

親会社の100%化による上場廃止は、子会社上場の宿命ではありました。

自分の勤務先にそれは無いとどこかで楽観視していました。

20年も勤めた後に後悔しても遅い。積み上げてきたものにきっと価値はあると信じる。

しかし、バランスが悪くなっていた。

どこでシフトチェンジすればよかったか、難しいが、キャリパスに真剣に向き合ってこなかった。

敵が不在で、自分の裁量でやれていた時期も長かった。経理部長が本来やるべきことまで

背負っていた自負もある。誰も自分の成果物をチェックしてくれない中で、

半端ないプレッシャの中で監査人や税務当局と対峙してきた事は自分の誇り。

定年まで10年以上あるが、今回のことで「心の定年」がふいにやってきた。

そう受け止めざるを得ない。

勤務先の企業が解散するわけではない。業績不振でもない。相対的に自分の存在価値は減損

してしまったとしても、100%子会社化に伴って勤め人の地位を追われるまでないだろう。

でも、自分のキャリアパス、今後の人生の歩み方を見直す絶好のきっかけにしたい。

「終わり」の始まりが来たのだと。

ABOUTこの記事をかいた人

1965年生まれ 会計士試験に5回挑戦後、会計事務所に就職、現在は一般企業の経理職を20年と経理一筋に生きてきた、さすらいの会計人(びと)。 会計で社会の未来を変えることを信じている。 内向的な性格を損だと思って生きてきたが、今では独自の世界観を築くことができた(と自分では思っている)のはひたすら自己に向き合ってきたからだと確信している。 音楽は高校時代から聞き始めたモダンジャズ一筋、手塚治虫の漫画やスティーブ・マクイーン、最近はダニエル・クレイグに憧れている。